
広島の空き家問題は、もはや一部地域の課題ではありません。県内の空き家は直近統計で約23万戸、空き家率は**15.8%**と全国平均を上回り、所有者・地域双方に影響が広がっています。放置は資産価値の毀損だけでなく、防災・治安・景観面のリスクも伴い、「早めに正しく動くこと」が解決の鍵です。
とくに東広島では、大学を擁する中心部の賃貸空室と、中山間地域の相続起因の一戸建て空き家という二つのタイプが同時進行で増加。最新データでは空き家率16%台まで上昇しており、対応の遅れが地域全体の課題に波及しやすい構造です。さらに2023年の法改正で**「管理不全空家」という段階区分が新設され、勧告に従わない場合は住宅用地特例が外れて固定資産税が大幅増となるペナルティも。従来よりも早い段階で税負担が跳ね上がる**ため、「何もしない」ことのコストが一気に高まりました。
本記事では、広島・東広島の実情に即して
- 現状とリスク(データと法改正の要点)
- 4つの解決策(売却/賃貸/リフォーム活用/解体)の比較基準
- 補助金・支援制度・空き家バンクの使い方
- 失敗しない進め方のチェックリスト
を、所有者が今日から動ける手順に落として解説します。読み終える頃には、「自分の物件で取るべき最適ルート」と「今すぐの第一歩」が明確になります。
広島・東広島の空き家の現状(データで把握)

広島県と東広島市における空き家問題は、統計データを通じてその深刻さが浮き彫りになっています。2023年の住宅・土地統計調査によると、広島県全体の空き家総数は約23万1,400戸、空き家率は15.8%に達しており、全国平均の13.8%を2ポイント上回っています。この数値は全国で22位に位置し、県としても全国的に見て課題の大きな地域です。
一方、東広島市の空き家率は2018年時点で12.8%でしたが、2024年には16.3%にまで上昇しています。わずか6年間で約27%増加しており、全国平均を大きく超えるスピードで問題が拡大していることがわかります。推定総数は約3,760戸に上り、そのうち42.7%が「賃貸用でも売却用でもない、その他住宅」に分類される、特に管理が難しく放置されやすい物件です。これは全国平均を上回る割合で、地域に悪影響を及ぼす潜在的リスクが高いことを意味します。
また、地域的な特徴も顕著です。西条地区など中心部では学生や単身世帯向け賃貸の空室が多く見られるのに対し、志和・豊栄・安芸津など中山間地域では、高齢化による一戸建ての相続放置が増加しています。この二面性により、**「都市部の空き賃貸」と「郊外の相続放置住宅」**という異なる課題が同時進行しているのが東広島市の現状です。
👉 データから見ても、広島県・東広島市の空き家問題は数の増加だけでなく質の悪化も進んでおり、放置すれば地域コミュニティや防災・治安に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
空き家がもたらすリスク(治安・防災・地域活力)

空き家は単なる所有者の資産課題にとどまらず、地域全体にさまざまなリスクを及ぼします。広島・東広島の実情を踏まえると、特に次の3つの観点で深刻です。
1. 治安リスクの増大
管理が行き届かない空き家は、不法侵入や不法投棄の温床となりやすく、防犯上の大きな問題となります。実際に東広島市でも、窓ガラスの破損や庭へのゴミ投棄といった事例が報告されており、周辺住民の不安を高めています。特に住宅密集地で放置されると、「空き家=治安が悪い場所」というレッテルが地域に貼られ、資産価値の低下を招きます。
2. 防災上の危険性
空き家は、地震や台風など自然災害時に倒壊・飛散物の原因となるリスクを抱えています。屋根瓦や外壁が劣化したまま放置されると、隣接する住宅や道路への被害につながりかねません。特に東広島市の郊外や中山間地域では木造住宅の比率が高く、築年数の古い家屋が多いため、火災や倒壊による二次被害の危険性は都市部よりも高いとされています。
3. 地域活力の低下
空き家が増えると、街並みの景観が悪化し、地域全体の魅力が損なわれます。これは単に見た目の問題だけではなく、「住みたい街ランキング」や移住希望者の評価にも直結します。さらに、人口減少や高齢化が進む地域では、空き家が地域コミュニティの空洞化を加速させ、商店街や公共交通の衰退につながる恐れがあります。
広島における特徴的なリスク
広島県では、中山間地域の「相続放置型空き家」と、都市部の「賃貸空室型空き家」が同時進行しています。前者は災害リスクと地域孤立を、後者は治安悪化や資産価値低下を引き起こしやすい点で、二重の課題を抱えているのです。
👉 このように、空き家は「所有者の問題」から「地域の公共課題」へと性質が変化しています。つまり、放置は自分だけの損失ではなく、地域全体に迷惑を及ぼす行為となるのです。だからこそ、早期の対応が求められます。
空き家問題の解決策(売却・賃貸・リフォーム・解体の比較)

空き家の放置は資産価値の下落や地域リスクを招くため、早期の対応が求められます。広島・東広島での空き家対策として有効なのは「売却」「賃貸」「リフォーム」「解体」の4つの方向性です。それぞれの特徴を比較し、自分の状況に最適な方法を選ぶことが重要です。
1. 売却(早期の資産化)
特徴
不動産会社や空き家バンクを通じて市場に出し、資産として現金化する方法です。
メリット
- 固定資産税や管理費の負担から解放される
- 3,000万円特別控除(居住用財産)や相続空き家控除を活用すれば、譲渡所得税が大幅に軽減される
- 今後の災害リスク・治安リスクを早期に回避できる
デメリット - 思ったより高く売れない可能性がある
- 地方や郊外の物件は買い手が見つかりにくい
👉 「管理負担から完全に解放されたい人」や「相続発生後すぐに処分したい人」に適しています。
2. 賃貸(収益化)
特徴
空き家をそのまま、または修繕後に貸し出して家賃収入を得る方法です。
メリット
- 継続的な収入源になる
- 住宅需要が高いエリア(広島市中心部や東広島の大学周辺)では比較的安定した入居者を確保できる
- 空き家問題解消と資産活用を両立できる
デメリット - 修繕・リフォーム費用がかかる
- 空室リスクがある
- 管理業務(入居者対応・修繕)が負担になる
👉 「立地が良い」「今後も資産として維持したい」と考える方におすすめです。
3. リフォーム(再生利用)
特徴
古い住宅をリフォーム・リノベーションして再利用する方法です。
メリット
- ファミリー層や移住希望者向けの需要に応えられる
- 住宅ローン控除やリフォーム補助金が利用できる場合がある
- 住宅としての資産価値を維持・向上できる
デメリット - 初期投資が大きい(数百万円規模になることも)
- リフォーム後に必ずしも高額で売れるとは限らない
- 将来的に再び空き家化するリスクもある
👉 「思い入れがある家を残したい人」や「賃貸や民泊など新しい形で活用したい人」に向いています。
4. 解体(リセット)
特徴
老朽化が進んだ空き家を解体して更地に戻す方法です。
メリット
- 倒壊や火災のリスクをゼロにできる
- 更地にすることで売却や新たな活用(駐車場・太陽光発電など)がしやすくなる
- 行政からの指導・勧告リスクを回避できる
デメリット - 解体費用がかかる(木造で100〜200万円、鉄骨造はさらに高額)
- 更地にすると住宅用地特例が外れ、固定資産税が増額する可能性がある
👉 「老朽化が進み危険な状態」「活用の見込みがない」場合は解体が最も現実的です。
比較のまとめ
- 早期に現金化したい → 売却
- 安定収益を狙いたい → 賃貸
- 資産を残したい・再生したい → リフォーム
- リスクを完全に排除したい → 解体
👉 いずれの方法も「法改正」「税金特例」「補助金制度」と密接に関わるため、専門家(不動産会社・税理士・司法書士)に相談することが不可欠です。特に広島では、相続空き家控除や自治体の解体補助金制度を組み合わせることで、費用を抑えつつ最適な選択が可能になります。
補助金・支援制度・空き家バンクの活用法

空き家問題に取り組む際、自治体や国の制度を上手に活用することで、費用負担を抑えながら解決に近づけます。広島県や東広島市では、解体・リフォーム・利活用に向けた補助金や「空き家バンク」を用意しており、これらを理解して行動することが重要です。
1. 解体補助金制度
老朽化した空き家は、倒壊や火災リスクから「特定空家」に指定される可能性があります。広島県や市町村では、こうした危険空き家の解体費用を一部補助する制度があります。
- 対象: 老朽化が著しく安全性に問題のある空き家
- 補助内容: 解体費用の1/3〜1/2(上限100〜150万円程度)
- メリット: 自己負担を大幅に軽減できる
👉 放置すれば固定資産税や行政指導の対象となるため、活用見込みがない場合は補助金を利用した解体が有効です。
2. リフォーム・利活用補助金
空き家を賃貸や移住者向け住宅に再生する際には、リフォーム費用を補助する制度があります。東広島市でも「空き家再生促進事業」などが実施され、移住・定住促進とセットで支援されています。
- 対象: 賃貸化や定住用に改修する空き家
- 補助内容: 工事費用の一部(上限50〜100万円程度)
- 活用例: 古民家を改修してカフェやシェアハウスに再生
👉 特に、移住者や若年層に人気の西条エリアでは、リフォーム補助を活用した再生活用の事例が増えています。
3. 空き家バンクの仕組み
「空き家バンク」とは、空き家を売りたい・貸したい所有者と、住みたい・借りたい人をマッチングする公的制度です。広島県内の各市町村で運営されており、東広島市も独自の空き家バンクを展開しています。
- メリット
- 地域外の移住希望者ともつながれる
- 不動産会社に依頼せず、低コストで情報発信できる
- 行政の移住支援施策と連携できる
- 注意点
- 取引条件の交渉や契約は基本的に自己責任
- 不動産会社を介さない場合、専門的な手続きに不安が残る
👉 「すぐに売却ではなく地域貢献も意識したい」という場合には有効な選択肢となります。
4. 国の支援制度
国レベルでも空き家対策が進んでおり、特に「相続空き家控除(3,000万円特別控除)」は重要です。
- 相続で取得した空き家を一定期間内に売却する場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除可能
- 築年数や耐震基準などの要件はあるが、適用できれば税負担を大幅に軽減できる
また、リフォーム減税や住宅ローン減税を組み合わせれば、空き家を再利用する際のコストを抑えられます。
まとめ
補助金・支援制度・空き家バンクを組み合わせれば、
- 「費用負担の軽減」
- 「売却・賃貸・リフォームの実現」
- 「地域貢献や移住促進」
につながります。
空き家は放置するほど負担が増える一方で、制度を活用すれば「負の資産」を「地域に生きる資産」へ転換できます。制度は市町村によって異なるため、まずは東広島市役所や広島県住宅政策課に相談することが第一歩です。
専門家に相談する重要性(不動産会社・司法書士・税理士)

空き家問題を解決する際に多くの方が直面するのが、「法律・税金・不動産取引の複雑さ」です。相続や売却、賃貸、リフォームといった選択肢には、専門的な知識が必須となります。そのため、早い段階で専門家に相談することが、安心して最適な解決策を選ぶ大きなカギになります。
1. 不動産会社の役割
不動産会社は、売却・賃貸・利活用のすべてにおいて実務的なサポートを担います。
- 市場価格の査定:立地や建物状態をもとに、最適な売却価格・賃料を算出
- 売却戦略の立案:広告・集客、買主との交渉、契約サポート
- 活用方法の提案:駐車場、賃貸住宅、商業用地など、地域ニーズに応じた活用提案
👉 空き家を放置せず収益化・資産化するためには、不動産会社のネットワークと販売ノウハウを活用することが効果的です。
2. 司法書士の役割
司法書士は、法律に基づく「登記」や「相続手続き」の専門家です。
- 相続登記:2024年から義務化されたため、相続で得た空き家の登記を行わなければならない
- 名義変更:相続人が複数いる場合の共有登記や持分整理
- 売却時の登記変更:買主への所有権移転登記、抵当権抹消
👉 司法書士を介さずに手続きを進めると、登記不備や法的トラブルに発展する恐れがあるため、専門家に依頼することが安心につながります。
3. 税理士の役割
空き家に関わる税金は非常に複雑で、誤った対応をすると余分な税負担が発生してしまいます。
- 譲渡所得税の計算:売却益にかかる税金の正確な算出
- 特例の適用:相続空き家控除(3,000万円特別控除)、居住用財産特例など
- 固定資産税の見直し:更地にすると税額が上がるケースもあるため注意
👉 税理士は、制度や特例を最大限に活用しながら、合法的に税負担を減らすためのパートナーとなります。
4. まとめ:専門家連携が成功の近道
空き家問題は、「売却すべきか、賃貸にすべきか」「リフォーム費用は回収できるのか」「解体すると税金はどうなるのか」といった多面的な判断が必要です。ひとつの専門家だけではカバーできないため、
- 不動産会社 → 市場戦略
- 司法書士 → 法的手続き
- 税理士 → 税金対策
といった形で連携することが理想的です。
特に広島や東広島の地域事情を理解した専門家に相談すれば、相場感や自治体制度を踏まえた具体的な解決策を得られます。
まとめ(相談・査定フォームへ)
空き家は放置すると、治安・防災・税金負担など多くのリスクをもたらします。しかし、売却・賃貸・リフォーム・解体といった多様な選択肢を正しく理解し、専門家と連携して進めることで、大切な資産を有効に活用することが可能です。
広島・東広島エリアで空き家に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。株式会社ニッセイ不動産では、地域の実情に即した最適なプランをご提案いたします。
👉 今すぐ 無料相談・査定フォーム からご連絡いただき、空き家を「負動産」から「資産」へと変える第一歩を踏み出しましょう。
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